■山行日 2024年4月14(日)~16(火)
■天候 14日 雨、15日 大雨→小雨、16日 晴れ
■メンバー 3名
■コースタイム
14日 紀元杉14:40-15:10淀川登山口15:15―16:15淀川小屋
15日 淀川小屋5:45―小花之江河7:35―花之江河7:45―黒味分れ8:10―10:30ゲンコツ岩10:55―11:55宮之浦岳12:00-12:40焼野三叉路12:55―13:35平石岩屋13:50-15:20新高塚小屋
16日 新高塚小屋5:45―7:10縄文杉7:30―8:40ウイルソン株9:00―9:30大株歩道入口9:45―11:15楠川分れ11:30―12:30辻峠12:40ー13:25白谷小屋13:45―14:50白谷雲水峡
■山行報告(リーダーI)
【4月14日(日)】
前夜、鹿児島在住のH君と久々に再会して薩摩郷土料理を堪能した我々と、今日は仕事が休みだから島内観光をするというH君を加えた計4名は、鹿児島港発の高速船で午前中に屋久島に上陸。H君は名瀑100選の大川の滝を見に行くとのことで、安房地区のバス停で分かれた。
我々はここで紀元杉行きのバスに乗り換える。この時点では曇りだったが、バスが標高を上げて進むに従い大粒の雨が降ってきた。とても傘では凌げそうにないので、バスの中で素早く雨具上下を身に着ける。終点のバス停で降りると登山者は我々以外に単独行の青年のみ。
雨足が強いので紀元杉を見に行く余裕もなく舗装路を先に進む。30分ほどで登山口着、ここで環境保全協力金を無人ポストに投入して山道に入る。少し行くと、先行していた単独行の青年が「猿がいるよ」と教えてくれた。早速固有種ヤクサルのお出迎えである。スマホのカメラを向けて呼びかけるとこちらを向いてくれた。
今日は1時間ほどの山道で気が楽だが明日の天気がとても気になる。下山パーティとすれ違う度に、「明日は大雨ですね」と言われるので気分が重くなる。道は緩やかに登ってやがて大きく下ると淀川小屋に到着。今日の宿泊は我々のほかに単独行2人で合計5人。小屋内を広々使えて快適であるが、やはり明日の天気はどうだろうか。朝の状況で判断することにして、夕食後早々にシュラフに入るも雨が屋根を激しく叩く音が気になってなかなか寝付けない。
【4月15日(月)】
4時に起きるとやはり大雨。単独行の2人は停滞するようだが、我々は行ける所まで行って厳しかったら戻ることにして出発する。しばらくは急な登り、木の根が張り巡らされた山道を進む。傾斜が緩やかになってきたところで一本、どうやら尾根に出たもよう。
本来ならこのあたりで名所のトーフ岩や黒味岳が望めるようだが当然視界はゼロである。さらに進むと小花之江河、その先10分ほど行くと花之江河でミニ尾瀬のような湿原地帯となる。ここでは4方向からの登山道が集中し、この先は1本の道が宮之浦岳山頂に向かうことになる。
左に黒味岳への道を見送り、投石岳付近まで来ると森林限界に。山頂が近づいてきたことを実感するがその分風を強く感じる。雨天の岩場で一見滑りやすそうだが、花崗岩の上は摩擦が効いて思いのほか歩き易い。ゲンコツ岩の付近まで来てあと1㎞の表示が現れると俄然元気が出る。30分歩いて栗生岳、一旦下って最後の急登坂を登るとようやく宮之浦岳山頂に到着。
念願の九州最高峰、今日は思い切って進んで良かったと3人で喜び合う。天気が良ければ太平洋や種子島、九州本土の開聞岳も望めるらしいが、山頂を踏めただけでよしとしよう。雨は弱まったが風が強いので写真を撮っただけで早々に下山を開始する。
しばらく下ると時々ガスの切れ目に永田岳方面の稜線が見えるようになる。平石の岩屋で雨風を避けて休憩していると、3人パーティが追い付いてきた。今日初めて会う登山者である。屋久島の山岳ガイドと夫婦とのこと。早朝タクシーを使って淀川登山口から登ってきて、この先も我々と同じコースを進むらしい。あちらでもやはり、「中止しないで良かった」と喜んでいる。
あとは新高塚小屋に向け下るだけ。急坂を下るとまた森の世界に戻ってきた。第二展望台、第一展望台が現れるが依然ガスの中。久々の10時間行動で膝が笑う中を新高塚小屋に到着。今日の小屋内は我々以外10数人。殆どが停滞組で朝から酒盛りの人も。明日の好天を期待してシュラフに入るが、夜中にヒメネズミが出没して、Oさんのゴミ袋が齧られる事件発生。
【4月16日(火)】
最終日になってようやく晴れ。今日は名所満載のコースなので気分が浮き立つ。30分歩くと屋久島の木々の中でも最も有名な縄文杉。荒川登山口から往復9時間かけてこれだけを見に来る人も多いらしい。推定樹齢7200年とも言われる巨木は見事で、いろいろな角度から写真に収める。
そこから急坂を1時間少々で下るとウイルソン株。豊臣秀吉が方広寺の大仏殿建設のために切り出しを命じたとか、内部で綺麗なハート型の切り口を撮影できるポイントがあるとか、昨日のガイドさんの説明にタダ乗りして楽しむ。
さらに30分で大株歩道入口へ。ここからは森林鉄道跡の線路上を歩く。平坦な道だが景色が単調で眠たくなる。また30分で楠川分れ、ここで線路と別れて最後の登りを辻峠に向かう。途中に冷たい水が斜面から湧き出ている水場あり。屋久島の水は超軟水でとても美味しい。
辻峠で一気に観光客が増えてきた。多くはガイドさんが引率、外国人観光客も多い。さすがは世界遺産屋久島である。度々のすれ違いにうんざりしながら苔の森の中を下る。雨上がりの森は神秘的で心が清められたように感じる。一面の苔に心を癒されながら白谷山荘に到着、ここも観光客で溢れていた。
最後の休憩の後、白谷雲水峡に沿って樹林の中を進む。悪天の中どこまで行けるか不透明のままスタートした山行だったが、結果的には山頂を踏み予定のコースを歩き切ることが出来た。神秘の森の中を歩くのは楽しくて、やはり屋久島は魅力的な場所、また何度も来たいと思わせるものがある。特に、永田岳から大川の滝に下りる花山歩道はぜひ歩いてみたい。ここまでの行程を思い返しつつ、心地よい疲れと充実感を感じながら白谷雲水峡バス停に到着した。